純鉄の特徴
純鉄とは、炭素含有率が0.02%程度までの、不純物元素が少ない鉄を言います。普段私たちが目にする鉄は炭素含有率が0.02%以上のもので、様々な元素を加えた「鉄鋼」と呼ばれます。また、純度99.999%以上と、非常に高純度の鉄については「高純度鉄」と呼ばれています。
純鉄は磁化されやすいことに加え、強力な磁力を保持し、磁性を簡単に反転できる金属でもあります。このような磁性を持つ金属のことを「軟磁性材料」とも呼ばれ、磁力が必要な通信機器や電化製品で活用されています。また、純鉄自体が軟らかい性質があるため、冷間でも展延性が高く、冷間鍛造性に優れている金属とも言えます。ただし軟らかいため延性が大きく、切削加工には高度な技術が必要です。
ちなみに硬度的にプレス加工にも向いていますが、プレスをすると保磁力が低下するため、製品によっては切削加工で制作を行わなければいけないこともあります。
純鉄の主な用途
純鉄を用いた製品作りは、鉄粉を焼結や圧縮して成形する方法と、板や棒状のものを鍛造や切削加工して成形する方法があります。圧力を加えると保磁力が低下するため、鉄粉から成形する方法では、主に磁石などが作られます。
一方で鍛造や切削加工で成形される製品には、自動車のエンジンで使用されるインジェクション部品、ソレノイドコアやトルクセンサコア、センサーなどがあげられます。
純鉄の切削性
純鉄は純度が高いがゆえに軟らかく粘性があるため、切削加工が難しいとも言えます。ほかの金属と同様の方法で純鉄を切削加工すると、切り屑が伸びて工具に巻きついてしまう不具合が生じてしまいます。切り屑が巻きついたまま切削を続けると、工具の摩耗を早めてしまったり、バリが発生してしまう可能性があります。そのため加工時には頻繁に切り屑を除去する必要があるため、多くの工数がかかります。
加工性を向上させるには、炭素含有量を上げる対策も考えられますが、磁気性が低下してしまいますので、製品によっては使用できないこともあります。もちろん切削性は向上するものの、それでもほかの金属より加工性は劣ったままですので、加工が難しいのは変わりません。そのため材料が振れないように工作保持具でしっかり固定し、切削加工の速度を模索しながら加工を行う必要があります。
切削速度は早ければ早いほど効率があがり、加工面が滑らかに仕上がる特徴もありますが、その分工具の摩耗も早く、バリの発生率も高まるため、設備や材料に応じて最適な速度を見つける必要があるのです。このように、純鉄の加工は非常に難しいと言えるでしょう。加工メーカーは独自の技術を持っているところが多いため、純鉄の加工は実績があるところに任せてしまうことをおすすめします。
純鉄加工ならお任せください
純鉄加工を行う上で、最も重要となるのは「加工経験があるかどうか」です。 加工した経験があれば、材料に応じた最適な切削速度や工具の選択などができるからです。 しかし、多くの加工業者では、材料費や加工時間コストも高くなることから難削材加工を敬遠しがちです。
当社ではチャレンジ精神をモットーとした企業風土を持ち、長年に渡り難加工に積極的に挑戦して参りました。 その結果、熱伝導率の低い純ニッケルやチタン、延性が大きい純鉄まで、様々な種類の難削材加工を得意としています。 純鉄をはじめとした切削データの少ない材料も長年培ってきた技術で対応致します。