パーマロイ加工

    

パーマロイの特徴

パーマロイは鉄とニッケルの合金です。ニッケルの含有率を35〜80%の幅で調整することで、微妙な性能の差を生み出すことが可能です。代表的なものに78パーマロイや45パーマロイがあります。含有率を変えても、見た目はステンレスや鉄と変わりません。また、パーマロイは通称の呼び名となります。正確な名称は日本工業規格JIS C 2531「鉄ニッケル軟質磁性材料」といいます。ちなみにパーマロイは英語で「Permalloy」。透磁率を意味する「permeability」と、合金を意味する「alloy」を掛け合わせた造語であり、世界的に通用する名称でもあります。

価格は純鉄に比べて高価です。パーマロイは透磁率が高いため、磁力に対して敏感に反応します。ニッケルの含有量が78%付近でもっとも性質が安定し、78パーマロイにモリブデン、銅、クロムなどを添加することで、さらに透磁率をあげることも可能です。パーマロイの性質が最大限生かされるのは、磁性焼鈍(じせいしょうどん)という加熱処理を行ったときです。1000℃以上の高温下を潜り抜けることで最大限の能力を発揮します。焼鈍処理をしたからといって、見た目は変わりませんが、焼鈍処理を加えられたパーマロイは磁気特性が飛躍的に向上します。焼鈍処理には、不純物を除去することと、金属の加工の歪みを是正する働きがあります。焼鈍の温度、冷却方法(急冷、徐冷など)によって磁気特性が多少異なってくるため、用途により使い分けることが求められます。

パーマロイ加工

パーマロイの用途

パーマロイがその特徴を生かして使われるのは、電気と磁気が交差する製品です。私たちの身近では、カセットテープのレコーダー、VHSのビデオデッキ、ハードディスクの磁気ヘッドなどの録音や再生機器に使用されています。不要な磁気を遮断する効果が高いことから、磁気ノイズに弱い精密機器を保護する役割を果たします。

また、集磁作用が高いことから、磁気が発生してはいけない場所にパーマロイが使われます。磁気シールドルーム、磁気シールドチャンバーなどがあります。少しの磁界でも磁化が大きいため、磁気センサーとしても活用されています。交流の抵抗を高める効果も期待でき、各種インダクターにも応用されています。

パーマロイの切削性

パーマロイの加工はフレキシブルで、曲げ・切削・鉸り加工に対応しています。しかし、硬く粘りのある材質のため工具の持ちが悪く、切削加工は非常に難しいとされています。熱伝導率の低さも、切削を難しくしている一因と言えるでしょう。一般材の工具で切削すると工具先端がすぐに摩耗、または溶けて使えなくなることもしばしば起こります。価格も高価のため、ミスは許されません。加工硬化が生じやすく、高温強度も高く、工具への親和性も高くなっています。

まだまだ切削データが不足しており、加工の指針となるデータが揃っていないのが現状。パーマロイの加工は適切な工具の選択、切削条件を工夫していくことが必要です。

パーマロイ加工

パーマロイ加工ならお任せください

パーマロイ加工を行う上で、最も重要となるのは「加工経験があるかどうか」です。 加工した経験があれば、材料に応じた最適な切削速度や工具の選択などができるからです。 しかし、多くの加工業者では、材料費や加工時間コストも高くなることから難削材加工を敬遠しがちです。

当社ではチャレンジ精神をモットーとした企業風土を持ち、長年に渡り難加工に積極的に挑戦して参りました。 その結果、熱伝導率の低い純ニッケルやチタン、延性が大きい純鉄まで、様々な種類の難削材加工を得意としています。 パーマロイをはじめとした切削データの少ない材料も長年培ってきた技術で対応致します。