スーパーインバー加工

    

スーパーインバーの特徴

スーパーインバーとは、鉄やニッケル、コバルトの合金のことを言い、常温域での熱膨張率が非常に小さい合金としても有名です。また、インバーはステンレス鋼の一種で、鉄に36%のニッケルを加えてできる合金で、1%に満たない微量成分として、マンガンと炭素が加えられます。インバーにコバルトを含有させると、さらに熱膨張率が小さくなり、これをスーパーインバーと呼びます。

インバーの熱膨張率は、鉄やニッケル単体と比べると10分の1。そしてスーパーインバーの熱膨張係数は、インバーのさらに10分の1となり、鉄と比べると100分の1の安定性を誇ります。ちなみにインバーとは英語で「invar」となり、意味は「不変」となります。フランス語では「アンバー」とも呼ばれています。

スーパーインバーは通常、ニッケルの含有量を減らして、コバルトは5%程度の含有量となっていますが、それぞれの金属の含有量を調整することで、微妙に性質を変化させることもできます。スーパーインバーは「超不変鋼」「超不変鉄」と呼ばれることがあります。さらにスーパーインバーは約280℃以下で磁気を帯びる性質があり、それ以上だと磁気を持ちません。湿気には弱く、錆の発生という形で徐々に腐食していきます。ほかにも荷重、最大耐力を加えても亀裂が入ることはありませんので、延性と高靭性に優れているともいえます。

スーパーインバー加工

スーパーインバーの用途

スーパーインバーは熱膨張率の低さから、温度環境の厳しい分野で用いられます。見方を変えれば一定の温度範囲では安定するため、温度管理が必要ない金属とも考えられます。天然ガスの輸送や貯蔵用タンクの内側のコーティング素材としてスーパーインバーがよく使用されています。温度を調節する役割として、サーモスタットにも使われています。

また、通常はテレビやディスプレイのシャドーマスクフレーム、時計の振り子、炭素繊維強化プラスチックの部品を製造するための金型にも用いられています。さらに高靭性にも優れるため、測量計器、地震の検出器などの精密機械への用途にも適しています。光通信用のコネクタにも応用して使われています。インバー同様、熱膨張係数が低い材料は複数ありますが、イリジウム、タンタル、タングステンなどは高価なため、スーパーインバーの使用が理想的であり、現実的であるともいえるでしょう。

スーパーインバーの切削性

配合されている金属は鉄、ニッケル、コバルトと、いずれも柔らかい金属ですが、スーパーインバーは難削材と呼ばれます。

熱膨張をしないのは変形によるリスクがないといえますが、熱伝導率が低いため、工具の刃に切り粉が付着し、うまく切削できずに工具の寿命が縮んだり切削の仕上がりにムラが発生してしまいます。そのため切削の加工条件は、低回転かつ切り込みが大きい方が良いとされています。

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スーパーインバー加工を行う上で、最も重要となるのは「加工経験があるかどうか」です。 加工した経験があれば、材料に応じた最適な切削速度や工具の選択などができるからです。 しかし、多くの加工業者では、材料費や加工時間コストも高くなることから難削材加工を敬遠しがちです。

当社ではチャレンジ精神をモットーとした企業風土を持ち、長年に渡り難加工に積極的に挑戦して参りました。 その結果、熱伝導率の低い純ニッケルやチタン、延性が大きい純鉄まで、様々な種類の難削材加工を得意としています。 スーパーインバーをはじめとした切削データの少ない材料も長年培ってきた技術で対応致します。