純ニッケルの特徴
純ニッケルは優れた耐食性を持った金属として有名です。純ニッケルの特徴は広範囲への耐食性の高さです。洗濯用洗剤に使われる苛性ソーダなどのアルカリに耐性があるのはもちろん、人体への毒性が強いとされる塩素ガスにも高い耐性を持っています。そのほかに、海水、淡水、中性の環境下でも、安定した状態で使用可能です。
純ニッケルは酸化、還元どちらの雰囲気でも耐食性があり、特に還元性雰囲気の耐食性に優れています。また、純ニッケルは鉄と同様、磁気に反応する性質があります。磁気の強さは鉄より低く、約350℃までは磁力が発生します。さらにポリッシュするとプラチナのように鈍い銀灰色を放ち、高級感が生まれます。ほかにも乾燥した環境下では錆びにくく、熱伝導率が小さい、延性が高いといった特徴もあります。
一方、酸に対しては弱く、徐々に溶けてしまいます。汗などに反応して成分が溶け出すため、肌に触れると金属アレルギー反応が起こることもあります。アレルギーに関しては水銀に次ぐ反応の高さです。
純ニッケルの主な用途
ニッケルは高価な金属に分類されます。ニッケル単体で部品として使用されることは稀であり、通常は他の金属と混ぜ合わせ、合金として使用されるのが一般的です。耐食性の高さから工業製品によく使用されます。私たちに身近なものでは、携帯電話の端子や電池の端子部分があります。光沢があるため、メッキとして利用されることもあります。
また、苛性ソーダや薬品を取り扱う設備の部材としても使用されることもあります。ほかにも、純ニッケルは熱伝導率が小さいため、基板のリードフレーム、耐熱端子としても利用されています。
純ニッケルの切削性について
純ニッケルは難削材といわれています。純ニッケルは決して硬い金属ではありませんが、粘り気が強く、切削の際に切り粉が切りにくく、バリが出やすいとされています。また、熱伝導率が小さいため、切削熱が切り粉に伝導しにくく、切削ポイントに集中してしまいます。その結果、工具に対する熱影響が大きくなってしまうのです。
難削材は工具との親和性も高いため、チッピングが発生しやすく加工精度が低下することでバリの原因になることもあります。切削しているうちに切削硬化も発生しますが、純ニッケルの切削硬化性は低いため、過酷な冷間加工に適しています。ほかにも、純ニッケルは延性が高いことから、プレスや絞り加工にも向いている金属とも言えます。一般的な金属加工を行っている場所では、純ニッケルの加工は難しく、通常は難削材の加工を得意とする業者に依頼します。
純ニッケル加工ならお任せください
純ニッケル加工を行う上で、最も重要となるのは「加工経験があるかどうか」です。 加工した経験があれば、材料に応じた最適な切削速度や工具の選択などができるからです。 しかし、多くの加工業者では、材料費や加工時間コストも高くなることから難削材加工を敬遠しがちです。
当社ではチャレンジ精神をモットーとした企業風土を持ち、長年に渡り難加工に積極的に挑戦して参りました。 その結果、熱伝導率の低い純ニッケルやチタン、延性が大きい純鉄まで、様々な種類の難削材加工を得意としています。 純ニッケルをはじめとした切削データの少ない材料も長年培ってきた技術で対応致します。